働く女性の健康を支援するには?健康経営で求められる取り組みとは
おはようございます、ウェルネス医療情報センターです。
企業の寿命は平均30年程度※1というデータが出ていることは、皆さまご存じでしょうか。昨今では新型コロナウィルスの影響により、さらに短くなることが予想されています。
企業が持続的な発展を目指すためには、それを支える従業員が健康な状態で働き続けられる体制を整えることが大切です。
女性活躍推進法が改正され、ますます働く女性の活躍が期待されていますが、健康を守るためのサポート体制はまだ十分とは言えません。
女性がいきいきと働きやすい企業にするには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。
健康経営と女性の健康課題
「健康経営」とは、企業が従業員の健康管理や健康づくりなどの投資を行うことにより、働く人の活性化や生産性のアップや、企業価値の向上を目指す取り組みです。
2014年からは「健康経営銘柄」という、上場企業の中でも特に優れた「健康経営」を戦略的に行っている企業を選定・公表する取り組みが開始されました。
2016年には上場企業以外でも優良な「健康経営」を実施している企業を、「見える化」することを目的として「健康経営優良法人認定制度」も始まりました。
2018年からは、上記の健康経営銘柄を選定するための「健康経営度調査」や、健康経営優良法人の申請にて、女性の健康課題への取り組みについて具体的に問われるようになりました。
昨今、女性の健康課題に対応することが健康経営を進める企業の中でも関心を集めています。
働く女性の健康課題
「働く女性の健康推進」に関する実態調査※2にて、女性特有の健康課題として様々な課題が挙げられています。
・月経関連の症状や疾病(月経不順・月経痛など) ・女性のがん・女性に多いがん(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん・乳がん) ・妊娠・出産に関する症状・疾病(つわり・流産・早産・死産・産後うつなど) ・更年期障害(のぼせ・ほてり・多汗・月経異常・めまい・手足のしびれなど) ・不妊・妊活(男性・女性の双方による可能性がある) ・子宮内膜症や女性の良性腫瘍(卵巣のう腫、子宮筋腫など) ・PMS(月経前症候群) ・冷えやのぼせなどの血流障害 ・貧血 ・便秘や下痢などの胃腸障害 ・メンタルヘルス(うつ病・パニック障害・摂食障害など) ・頭痛・片頭痛 ・閉経後の女性ホルモン低下による症状・疾病(骨粗しょう症・関節痛・動脈硬化や糖尿病、メタボ、認知症の増加など) ・やせ・肥満・むくみ・ダイエットや栄養障害 ・甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病など)や膠原病などの自己免疫疾患 ・骨盤底の症状・疾病(頻尿・尿漏れ・骨盤臓器脱など) |
上記の実態調査では、女性特有の健康課題によって勤務先で困った経験をしたことのある人は、半数以上にのぼるというデータが出ています。
特に20代~30代では月経関連の症状や疾病で困った経験が多く、50代以上では更年期障害の悩みが増えます。
女性の健康課題においては年齢やライフステージで、かかりやすい病気や症状も多岐にわたっています。
女性の働きやすい環境を推進するメリット
それでは女性特有の健康課題に対応し、女性が働きやすい環境を整えることでどんなメリットがあるのでしょうか。
・離職率が下がり、優秀な人材が確保できる
「働く女性の健康推進」に関する実態調査※2にて、働く女性の4割が女性特有の健康課題などにより、「職場で何かをあきらめなくてはならないと感じた経験がある」と答えています。この「あきらめなくてはならないと感じたこと」については、「正社員として働くこと」、次いで「昇進や責任の重い仕事につくこと」「希望の職種を続けること」などが挙げられています。 女性の健康を支援することで、健康について悩みのある女性も長く働き続けてもらうことやキャリアアップを目指していくことが可能になります。
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・企業の生産性の向上
月経随伴症状による1年間の社会的負担は6,828億円、その中でも欠勤や労働量の低下などの労働損失は4,911億円になることがわかっています。※3
また、健康や医療に関する情報にアクセスして、理解して、活用するために情報を使う能力のことを「ヘルスリテラシー」といいます。ヘルスリテラシーが高い人の方が、月経や更年期障害などの症状が起こった際に、仕事のパフォーマンスが高いというデータもあります。※4 企業が女性の健康課題に対応し、働く女性のヘルスリテラシーを向上させることで、生産性の向上や業績アップが期待できます。
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女性が働きやすい環境を整えるには?
ワークライフバランスについての制度と比較し、女性の健康課題に対してはサポート体制が十分ではなく、認知度も低い状態です。※5
女性が働きやすい環境を整えるには、休暇制度やワークライフバランスの制度も欠かすことはできません。
健康課題に対しては、特に以下のような取り組みが必要だと考えられます。
・健康相談窓口を設置する取り組み
女性特有の病気や症状についてはデリケートな話題が含まれるため、女性本人や管理職などが気軽に相談できる場所が必要と言われています。
総務部や人事部などでサポート体制を構築する、医師や保健師などの専門家に相談できるようにするなど、健康相談窓口の設置を行うことが効果的だと考えられます。
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・検診受診率を向上させる取り組み
女性特有の病気を発見するための人間ドックや子宮頸がんや乳がん検診などのオプション検査などの費用を補助、就業時間内に受診できるようにするなど、働く女性に負担がかからないよう支援しましょう。
女性特有の病気を早期発見、早期治療するために、健康意識を高めることが大切です。
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・ヘルスリテラシーを向上させる取り組み
女性の健康課題についての研修会や社内でのメルマガの発信などを行うことによって、女性本人だけでなく、管理職や周囲の人も知識や対処方法などを学ぶことができます。制度はあっても知られていない、活用しにくいという状態を防ぐことにも繋がります。
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女性の健康課題へのサポートに力を入れている企業(健康経営銘柄や健康経営優良法人選定企業)の具体的な施策例をまとめました。
ご興味のある方はご一読ください。
少子高齢化が進む中、働く人の4割以上が女性となり、さらなる活躍が見込まれます。
健康課題に取り組み、女性が安心して働ける環境を整えることが企業の業績アップ、企業価値向上のための重要な焦点となっていくことでしょう。
ウェルネス医療情報センターでは以下のようなサービスで、働く女性の健康を支援しています。
・健康電話相談
女性特有の病気や月経前の落ち込みなど、身体や心のお悩みについて24時間365日、看護師や保健師、臨床心理士がお答えします。
病気や健康などの正しい情報について迷った時に専門家に相談することは、ヘルスリテラシーを向上させることにも繋がります。
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女性フロアを完備している医療機関の紹介や、女性専用の人間ドックなどの予約も可能です。
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ぜひお気軽にご相談くださいませ。
※1 D-Com 2021年『「会社の寿命30年説」をどう理解し、経営に生かすか』 ※2 経済産業省 2018年『「働く女性の健康推進」に関する実態調査』 ※3 バイエル薬品株式会社 2011年『日本人女性における月経随伴症状に起因する日常生活への負担と社会経済的負担に関する研究結果』
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