【脳ドック】頚部MRAと頸動脈エコー
おはようございます、株式会社ウェルネス医療情報センターです。
弊社では様々な検診の代行予約を行っておりますが、今回はその中でもお客様から関心が高い脳ドック検査「頚部MRA」と「頸動脈エコー」をご紹介します。
なぜ脳ドックなのに頸動脈を調べるの?
頸動脈とは字の通り、首に走っている血管になります。手を首に置いたときに拍動を感じるところが頸動脈です。
頸動脈は動脈硬化が起こりやすい場所でもあり、全身の動脈硬化の指標にもなります。
動脈硬化を調べることで、それによって引き起こされる脳梗塞などの疾患リスクもわかるのです。
なぜ動脈硬化が脳梗塞を引き起こすの?
動脈硬化とは『動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きが悪くなる病変』のことを指します。
動脈硬化が進行すると、血管壁の中に脂肪がたまって厚くなり、プラークという塊が形成されます。
プラークが頚動脈で形成され、大きくなり、頸動脈が詰まると脳へ流れる血流が途絶えるため、脳梗塞を引き起こします。
また、プラークが崩れると、プラークの欠片や崩れた箇所に血栓ができます。
血栓が頸動脈でできた場合、頸動脈が血栓で塞がれ、脳梗塞を引き起こします。
さらにプラークがなんらかの拍子で血管から剥がれ、脳血管に流れ着いて詰まると、前触れなく突然脳梗塞を引き起こしてしまうので、非常に危険です。
頚部MRAってどんな検査?
頚部MRAは磁力を利用して、大動脈から頸動脈までの血管だけを3次元的に撮影し血管の全体像を捉える検査です。
血液が流れているところが白く描き出されることで、大動脈から頸動脈までの血管狭窄の有無、プラークの有無や性状を検査できます。
欠点として血液が流れていない血管や、あまりに細い血管は映りません。
血液がゆっくり流れている血管もはっきりとは見えない点が挙げられます。
また体内金属のある方は受けられない可能性もあります。
頸動脈エコーってどんな検査?
頸動脈エコーは超音波(エコー、ドップラー)を使い頚動脈の中を調べる検査です。
頸動脈は手で首を触るとすぐわかるように、体の浅いところにあるため、超音波で一番見やすい血管です。
血管の内面の0.1mmぐらいの厚さの変化がわかるので、数ある検査の中で最も詳しく血管の中を見ることができます。
具体的に何を調べるかというと、頸動脈の厚さ、血流の速さ、狭窄の有無、プラークの有無を調べることができます。
また、頸動脈は動脈硬化が起こりやすく、ごく初期の動脈硬化を捉えることができます。
頸動脈の動脈硬化が全身の動脈硬化の指標にもなるため、心筋梗塞など脳卒中以外の疾患のリスク評価にもなります。
この検査の弱点は、石灰化といって血管壁が石のように固くなっている場合は、正確な判断ができないことが挙げられます。
また、エコー検査は技師がプローブと呼ばれる超音波を発する機械を検査部位に直接当てて検査を行うため、どうしても技師間で差が生じてしまう可能性はあります。
頚部MRA?頸動脈エコー?どちらを選ぶべきか
日本脳ドック学会のガイドラインでは、頚動脈検査を頚部MRA・頚動脈エコーのいずれで行ってもよいことになっています。
頸動脈エコー検査にて狭窄や閉塞が発見された場合は、MRI・MRAを追加すべきとも記述があります。
それではどちらを選べばいいのでしょうか?
プラークが内出血を起こしているなど質的な評価については、頸動脈エコーでは検査を実施する技師が判定する主観的評価になることや、機械の差や設定によってもその判定が変化することもあるため、頚部MRAの方が優れているといわれています。
しかし、プラークの剝がれやすさについては、リアルタイムに観察できる頸動脈エコーにしかできません。
このように、検査の得意分野が異なりますので、お互いの強みを活かし弱点のフォローをしあうということを考慮すると、両方受けたほうが安心です。
実際に提携施設で脳ドックを行っている施設の中には頚部MRAと頸動脈エコーの双方を脳ドックとして採用しているところもあります。
ただ、ある程度の費用がかかってしまう検査ではあるため、どちらかを選ぶということであれば、それぞれの検査のメリットから決めるという方法もあります。
例えば、弊社の提携施設の中には、頚部MRAは頸動脈の全体像を捉えることができるという理由から、初回の脳ドックでは頚部MRAで検査を行い、2回目以降の脳ドックでは頸動脈エコー検査を実施するルールになっている施設もございます。
弊社では、脳ドック等の検診の代行予約や健康相談サポート等、皆さまのヘルスリテラシー意識向上に向けて様々なサービスを行っております。
ぜひお気軽にご相談くださいませ。
【参考サイト】 1)一般社団法人 日本脳ドック学会「脳ドックのガイドライン2008」 |